島国の危機 2017 11 19

書名 「危機感のない日本」の危機
著者 大石 久和  海竜社

 確かに、危機感がないということが、
「日本の危機」と言えるかもしれません。
 日本列島は、陸続きが多い海外諸国と違って、
海に囲まれていますので、
何か「守られている」という感じになるでしょうが、
それが「ガラパゴス化」する原因になるかもしれません。
つまり、世界の変化に疎いという状態です。
 著者が言うのは、
「日本のGDPの世界シェアが6%を切るレベルに低下した。
1995年頃には世界の18%近くを占めていたのに」という。
 これは、日本のGDPが縮小したのではなく、
実は現状維持だったのですが、
世界の多くの国がGDPを拡大させたので、
その結果、日本の比率が小さくなってしまったということです。
 例え話をするならば、よくある話ですが、
小学校時代は、背が高かったのに、
中学校になったら、全く背が伸びなかったので、
背の高さは、クラスでは、真ん中ぐらいになってしまったということです。
 どうして、日本は、背が伸びなくなったのか。
著者は、1995年に「財政危機宣言」がなされ、
歴代の内閣は、ひたすら歳出削減に励んできたのだった。
その財政再建至上主義の結果が、
「まったく経済成長しない日本」の出現だったと言います。
 これには、補足が必要でしょう。
GDPを構成する要素に「政府支出」があります。
もし、「政府支出」を減らせば、GDPは縮小します。
税収は、基本的に「GDP×税率」ですので、税収も減ります。
 もちろん、「政府支出」を減らしても、
民間部門が大きく伸びれば、GDPは拡大します。
 アメリカでは、株式の時価総額ランキングのTOP10が、
この10年で大きく入れ替わりました。
 日本の場合は、10年前のTOP10は、今でもTOP10でしょう。
安定しているというか、変化がないというか。
株式の時価総額ランキングで見れば、
日本は、「ガラパゴス化」しています。
 アメリカの時価総額ランキングでは劇的な変化があったのに、
日本では、太平の世が続いた江戸時代のようです。
 「江戸時代」と言っても、外国人にはわかりませんので、
「日本は、ガラパゴス化した」と言えばよくわかるかもしれません。

GDPと税収 2016 4 23
 私は、2003年に、
「BANKRUPTCY 1995 by Harry E.Figgie,Jr.」
(1995年合衆国破産 H・フィギー・Jr.)という本を紹介しました。
 しかし、現在においても、
アメリカ合衆国は、破産していません。
 それは、なぜか。
アメリカは、GDPを拡大させる政策を実施してきたからです。
実際に、アメリカのGDPは、急拡大しました。
 税収というものは、難しく考える必要はありません。
単純に「GDP x 税率 = 税収」と考えてよいでしょう。
 たとえば、年収500万円の人が5,000万円も借りてマイホームを買うと、
おそらく、破産するでしょう。
 しかしながら、年収が800万円、1,000万円、1,500万円と増えていくと、
5,000万円の負債も、過大な借金とは言えないでしょう。
 アメリカのGDPも、同じように、急速に拡大してきました。
グラフにすれば、急上昇です。
 翻って、日本のGDPは、どうなっているのか。
この20年間、同じようなものです。
 そして、政府は、緊縮財政や増税という具合に、
GDPを縮小させるような政策を実施してきました。
私は、「政府は、税収に関心がないのか」と思いました。



































































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